[実例1]フリーズドライ食品
着眼点に成功のカギ
「より安く、より簡単に」という加工食品の至上命題。
普通の発想では、これを達成するのは不可能である。
しかしながら、
アトラスプランニングが取り扱う商品の中で、
一番の実績数を誇るのがフリーズドライ(FD)食品。
商品開発の裏には、とある、発想の転換が必要であったという。
--- 多くの実績があるということですが、開発を始めた経緯とは?
一番最初はお客様から、
「フリーズドライ食品が売れるから、開発を手伝ってほしい」
という話を持ちかけていただいたことです。
しかし、メーカーからNB商品を仕入れるのではなく、
オリジナルの製品を作って販売していきたい、というご用命でした。
まさか既に流通している商品を、「名前だけ変える」わけにもいきませんし、
それをしたところでコストが下がるわけでもない。
そうなると、一から商品を設計して作るしかなかったんです。
--- はじめから、いきなりですか。
そうですね。
とは言っても、私どもの事業母体は加工食品の開発です。
その加工品を店舗に卸していたのですが、
誰が調理しても同じできあがりになるようにすることで、
店舗の労力が軽減し、オペレーションが簡素化される。
人件費の削減につながり、それでいて品質は維持。
原価も安定し、在庫管理も容易になる。
こういうものでした。
原価率の安定、つまりコスト削減を発想の軸にしていたものですから、
開発するのは初めてでも、だいたいのやり方は想像できました。
--- やはり、価格勝負になると思いますが・・・
商談が進む中で当然のように、
「1個あたりいくらで、完成品を販売できるのか」という話になりました。
そこで、「ここだ!」という製造メーカーに直接アプローチしました。
コンペなどせず、特定の製造メーカーとタッグを組んで、
目指す価格に見合うように商品設計をすべく、まず製造メーカーに対しての共同開発に向けた 営業アプローチをかけました。
--- そのメーカー選定の際の基準は、どういうものだったんでしょうか?
コストを落とす方法には2種類しかないんです。
1つは、【全く同じ作り・中身も同じ】コピー商品を大量生産すること。
そうなると、ランニングコストの安いところとお付き合いするしかありません。
それか、安い原材料の仕入れに長けているメーカーさんを探すか。
しかしこの方法、探す手間さえ惜しまなければ、誰でもできるんですね。
ただし、大量生産という点で必ず壁にぶつかってしまいます。
--- では、もう1つの方法とは?
例えば、フリーズドライで一般的なものに、「玉子スープ」があります。
召し上がったことのある方ならご存じかと思いますが、
あれ、結構大きさ、厚みがあるものです。
これは言い換えると、「製品価格に占めるイニシャルコスト」の負担が大きい、ということ。
つまり、ひとつひとつが大きな商品しか作れないということは、
かかるイニシャルコスト(製造ロット当たりの運転コスト)が、
ひとつひとつの製品の体積や面積にかかってくる、ということなんです。
だからこれを小さくする必要があるのです。
消費者の間には、
最終的に、お湯を注いで味に遜色がなければ、
もとの形にはこだわらない、というニーズがあります。
ですから、
同じ希釈・同じ味の玉子スープにする上で、
体積、面積を減らして、「 製品価格に占めるイニシャルコスト」を下げるのです。
小さくすることはつまり、生産能力が上がる、ということ。
生産能力が上がるということは、一時間あたりの運転コストが下がる、ということ。
同じ時間の中でいくつ作れるのか、
製造可能数で優位のところと、私どもはお付き合いするんです。
--- 逆転の発想ですね。
仮に原料を川の源流、川上にメーカーがいて、
エンドユーザー・消費者を川下とします。
その川の中で、使えるのに捨てている原料があるとすれば、
それを商品化して、扱ってくれるお客さんを探す方法もあります。
逆に、 川下のエンドユーザーのニーズを汲み取って、
それを川上へと遡って、それに合致する原料やメーカーさんを探す方法もあります。
このどちらもが、私どもの仕事です。
--- こうした着眼点の有無が商品化成功のカギとなるのでしょうか?
もちろんそれだけではないのですが、
私どもとしては、
「コピーを作りたいんだけど、パートナーに」と話を持ち掛けられるよりも、
「コストを半分にしたいんだけれど、おたくで出来ますか?」と言われるほうが燃えますよね。
なんといっても、工夫のし甲斐がありますから。